スターアライアンス世界一周航空券の完全ガイド
世界一周という言葉を聞くだけで、胸が高鳴る方は少なくないでしょう。しかし、実際に計画を始めると「どの航空券を選べばいいのか」「ルートはどう組めばいいのか」という壁にぶつかります。
個人的な経験では、スターアライアンスの世界一周航空券は、複数の航空会社を一枚のチケットで利用できるという点で、世界一周旅行のもっとも合理的な選択肢のひとつです。ANA、ルフトハンザ、ユナイテッド航空、シンガポール航空など26社の加盟航空会社を自由に組み合わせられるこの航空券は、正しく理解すれば驚くほどコストパフォーマンスの高い旅が実現します。
この記事では、スターアライアンス世界一周航空券の仕組みから具体的なルート設計、予約のコツまでを実体験をもとに徹底解説します。
この記事で学べること
- スターアライアンス世界一周航空券はエコノミーで約45万円から購入可能
- ルート設計には「太平洋・大西洋を各1回横断」という基本ルールがある
- マイル制と区間制の2つの運賃体系で最適な方を選べば10万円以上の差が出る
- 途中降機(ストップオーバー)を活用すれば1都市あたりの滞在コストが大幅に下がる
- ANAマイレージクラブ経由の予約で日本語サポートと特典が受けられる
スターアライアンス世界一周航空券の基本的な仕組み
スターアライアンスの世界一周航空券は、正式名称を「Star Alliance Round the World Fare」といいます。
簡単に言えば、スターアライアンスに加盟する26の航空会社のフライトを組み合わせて、地球を一周するルートを一枚の航空券として購入できる仕組みです。通常の片道航空券を都市ごとに買い足していくよりも、はるかに経済的で管理もしやすくなります。
この航空券には大きく分けて2つの運賃体系が存在します。
マイル制(距離制)は、旅程全体の総飛行距離に基づいて料金が決まる方式です。26,000マイル、29,000マイル、34,000マイル、39,000マイルの4段階に分かれており、距離が短いほど安くなります。
区間制は、利用するフライトの搭乗区間数に基づいて料金が決まる方式です。3区間から16区間まで設定でき、短い旅程であれば非常にお得になる場合があります。
どちらを選ぶかで総額が10万円以上変わることも珍しくありません。
世界一周航空券の基本ルールを正しく理解する

スターアライアンス世界一周航空券には、自由度が高い一方でいくつかの明確なルールがあります。これを理解していないと、せっかくのルート設計が無駄になってしまいます。
方向に関するルール
もっとも重要なルールは「旅行の方向は東回りか西回りのどちらか一方向に限られる」という点です。途中で逆方向に戻ることは基本的にできません。たとえば東京を出発して東回り(東京→北米→ヨーロッパ→東京)と決めたら、ヨーロッパからアメリカに戻るようなルートは組めません。
ただし、同一大陸内での移動については方向の制約が緩和される場合があります。
大洋横断のルール
太平洋と大西洋はそれぞれ最大2回まで横断できます。ただし、多くのプランでは各1回の横断が基本です。この制約があるからこそ、どの大陸でどの都市を訪れるかの優先順位付けが重要になります。
途中降機(ストップオーバー)のルール
途中降機とは、24時間以上同じ都市に滞在することを指します。マイル制の場合、通常5回までのストップオーバーが認められています。区間制の場合は、各区間の到着地がストップオーバー地点となるため、区間数がそのまま滞在都市数に直結します。
このストップオーバーの使い方が、世界一周旅行の満足度を大きく左右します。
有効期間と出発地
航空券の有効期間は最長1年間です。出発地と最終到着地は同じ国でなければなりません。日本発であれば、日本の空港に戻ってくる必要があります。
料金体系とクラス別の価格目安

スターアライアンス世界一周航空券の料金は、選択する運賃体系とクラスによって大きく変動します。
マイル制の料金目安
マイル制では、総飛行距離に応じた4つのカテゴリーがあります。日本発着の一般的な世界一周ルート(東京→北米→ヨーロッパ→東南アジア→東京)は、おおよそ29,000〜34,000マイルの範囲に収まることが多いです。
クラス別料金比較(29,000マイルの場合・目安)
これらは目安であり、時期や為替レート、燃油サーチャージによって変動します。
区間制とマイル制、どちらが得か
経験上、以下のような判断基準が参考になります。
訪問都市が少なく(3〜5都市)、各都市間の距離が長い場合は区間制が有利です。逆に、多くの都市を効率よく回りたい場合はマイル制の方がコストパフォーマンスが高くなる傾向があります。
たとえば「東京→ロサンゼルス→ニューヨーク→ロンドン→バンコク→東京」という5区間のシンプルなルートなら、区間制で40万円台に収まることもあります。一方、ヨーロッパ内で3都市、北米で2都市と細かく回る場合は、マイル制の方が割安になるケースが多いです。
おすすめルートの具体例と設計のコツ

ここからは、日本発着で実際に人気の高いルートパターンをご紹介します。
王道の東回りルート(2〜3週間向け)
もっとも人気があるのは東回りルートです。
東京 → ロサンゼルス → ニューヨーク → ロンドン → パリ → イスタンブール → バンコク → 東京
このルートの魅力は、北米・ヨーロッパ・東南アジアという3大人気エリアを効率よく網羅できる点です。総距離は約30,000〜33,000マイルに収まることが多く、マイル制の34,000マイル枠で十分対応できます。
コスパ重視の最短ルート(1〜2週間向け)
東京 → サンフランシスコ → ロンドン → シンガポール → 東京
滞在都市を絞ることで、区間制の恩恵を最大限に受けられるルートです。各都市で3〜4日ずつ滞在しても2週間以内に収まります。海外旅行の持ち物チェックリストを事前に確認しておけば、荷物も最小限に抑えられます。
ヨーロッパ重視ルート(3〜4週間向け)
東京 → ロサンゼルス → ロンドン → フランクフルト → ウィーン → イスタンブール → シンガポール → 東京
ヨーロッパの美しい街並みをじっくり楽しみたい方に最適なルートです。ルフトハンザ、スイスインターナショナル、オーストリア航空といったヨーロッパ系のスターアライアンス加盟社を活用できるのが強みです。
ルート設計で押さえるべき3つのコツ
第一に、ストップオーバーを「乗り継ぎ」ではなく「目的地」として考えることです。ハブ空港がある都市(フランクフルト、イスタンブール、シンガポールなど)は乗り継ぎで通過しがちですが、24時間以上滞在すれば立派な観光地になります。
第二に、同一大陸内の移動は陸路も検討することです。たとえばヨーロッパ内の移動はユーレイルパスを併用すれば、航空券の区間数を節約しながら多くの都市を訪問できます。
第三に、季節を考慮したルート設計です。北半球と南半球では季節が逆になるため、訪問時期に合わせてルートの方向を決めると快適な旅になります。
予約から出発までのステップ
ルート設計
公式ルートプランナーで候補ルートを作成。マイル制・区間制の両方で見積もりを比較します。
予約・発券
加盟航空会社の窓口または旅行代理店で予約。ANA窓口なら日本語対応で安心です。
準備・出発
各国のビザ要件を確認し、海外旅行保険に加入。座席指定も早めに済ませましょう。
予約方法の選択肢
予約は主に3つの方法があります。
スターアライアンス公式サイトでは、ルートプランナーを使ってオンラインで見積もりからルート設計まで完結できます。英語での操作になりますが、直感的なインターフェースで比較的使いやすいです。
ANA(全日本空輸)の窓口は、日本語でのサポートが受けられる最大のメリットがあります。電話または空港カウンターで相談でき、複雑なルートの相談にも対応してもらえます。ANAマイレージクラブ会員であれば、世界一周のフライトでもマイルが貯まります。
旅行代理店を利用する方法もあります。手数料はかかりますが、ビザの手配や宿泊の手配まで一括で依頼できるため、初めての世界一周で不安がある方には心強い選択肢です。
発券後の変更について
発券後のルート変更は可能ですが、変更手数料(通常1回あたり125USドル程度)が発生します。日程の変更は比較的柔軟に対応してもらえますが、ルート自体の大幅な変更は新規発券扱いになる場合もあるため注意が必要です。
スターアライアンス加盟航空会社を活用するポイント
26社の加盟航空会社にはそれぞれ特徴があり、路線によって使い分けることで旅の質が大きく変わります。
長距離路線でおすすめの航空会社
シンガポール航空は、サービス品質の高さで世界的に評価されています。特にビジネスクラス以上を利用する場合、東南アジア路線では最有力候補です。
ANAは、日本発着の太平洋路線で安心感があります。機内食の質も高く、日本語サービスが受けられるのは大きなメリットです。
ルフトハンザドイツ航空は、ヨーロッパ域内のネットワークが充実しています。フランクフルトやミュンヘンのハブを活用すれば、ヨーロッパ各都市へのアクセスが非常にスムーズです。
ターキッシュエアラインズは、近年急速にサービス品質を向上させており、イスタンブールのハブを通じてヨーロッパ・中東・アフリカへの接続が優秀です。エコノミークラスでも機内食の評判が高いのが特徴です。
ラウンジの活用
ビジネスクラス以上の航空券を持っている場合、世界中のスターアライアンス系ラウンジを利用できます。これは長時間の乗り継ぎ時に大きな価値を発揮します。
エコノミークラスの場合でも、スターアライアンスゴールドステータス(ANAならSFC会員相当)を持っていればラウンジアクセスが可能です。
世界一周航空券のメリットとデメリット
メリット
- 個別購入より大幅に安くなることが多い
- 26社の路線を自由に組み合わせられる
- 一括管理で予約の手間が減る
- 途中のルート変更に柔軟に対応可能
- マイルが一括で貯まる
デメリット
- LCCとの組み合わせができない
- 一方向のみという方向制限がある
- 燃油サーチャージが別途加算される
- ルート設計に時間と知識が必要
- 繁忙期は希望便が取れないことがある
特に注意すべきは燃油サーチャージの存在です。航空券本体の価格に加えて、各区間の燃油サーチャージと空港税が加算されるため、最終的な支払額は本体価格の1.3〜1.5倍程度になることがあります。見積もり段階で総額を必ず確認しましょう。
他のアライアンスとの比較
世界一周航空券はスターアライアンスだけでなく、ワンワールドやスカイチームからも提供されています。
ワンワールドとの比較
ワンワールドにはJAL、ブリティッシュ・エアウェイズ、カンタス航空、キャセイパシフィック航空などが加盟しています。オセアニア方面を重視する場合はカンタス航空が強いワンワールドが有利です。一方、ヨーロッパ域内のネットワークはスターアライアンスの方が充実しています。
スカイチームとの比較
スカイチームにはデルタ航空、エールフランス、大韓航空などが加盟しています。北米路線ではデルタ航空の充実したネットワークが魅力ですが、日系航空会社が加盟していないため、日本語サポートの面ではスターアライアンス(ANA加盟)に軍配が上がります。
日本発着で考えた場合、ANAを起点にルートを組めるスターアライアンスは、日本人旅行者にとってもっとも使いやすい選択肢と言えるでしょう。
世界一周旅行を成功させるための実践的なアドバイス
予算計画のポイント
航空券代だけでなく、各都市での宿泊費、食費、交通費、観光費を含めた総予算を立てることが重要です。海外旅行で安い国をルートに組み込むことで、全体の旅行費用を抑える工夫もできます。
一般的に、エコノミークラスの世界一周航空券(約45万円)に加えて、3週間の旅行で50〜80万円程度の滞在費を見込んでおくと安心です。
荷物の管理
世界一周では荷物の軽量化が快適さに直結します。各航空会社で受託手荷物のルールが微妙に異なるため、もっとも厳しい基準に合わせてパッキングするのが賢明です。
ビザと入国要件
日本のパスポートは世界でもっとも強力なパスポートの一つですが、それでもビザが必要な国はあります。特にアメリカのESTA、オーストラリアのETA、インドのe-Visaなど、事前のオンライン申請が必要な場合があるため、出発の1ヶ月前までにはすべての入国要件を確認しておきましょう。
海外旅行保険
1年間有効な世界一周航空券を持つ場合、クレジットカード付帯の保険だけでは期間が不足することがあります。長期の海外旅行保険に別途加入することを強くおすすめします。
出発前の確認チェックリスト
よくある質問
スターアライアンス世界一周航空券は片道だけでも利用できますか?
世界一周航空券は、出発地と最終到着地が同じ国である必要があるため、片道利用はできません。ただし、出発空港と帰着空港が異なることは可能です。たとえば成田空港から出発して関西国際空港に帰着するルートも組めます。必ず地球を一周する形のルートが必要です。
子ども料金や幼児料金の設定はありますか?
はい、あります。一般的に2歳未満の幼児は大人運賃の約10%、2歳以上12歳未満の子どもは大人運賃の約75%で利用できます。ただし、燃油サーチャージや空港税は別途かかるため、予約時に正確な金額を確認することをおすすめします。家族での世界一周を検討されている方は、短期間の海外旅行で子連れ旅行の経験を積んでからチャレンジするのも良い方法です。
途中で旅行を中断して一度帰国することはできますか?
基本的に世界一周航空券は一方向への移動が原則のため、途中で出発国に戻って再出発するルートは組めません。ただし、ルート上に出発国が含まれる場合(たとえば西回りでアジアを経由する場合)は、結果的に一度日本を通過するルートが可能な場合もあります。具体的なケースは予約窓口で確認してください。
マイルは貯まりますか?どの航空会社のマイレージプログラムに貯めるのがお得ですか?
世界一周航空券でもマイルは貯まります。どの航空会社のマイレージプログラムに加算するかは自由に選べますが、日本在住の方にはANAマイレージクラブがもっとも使いやすいでしょう。ポイントは、搭乗する航空会社ではなく「貯めるマイレージプログラム」を一つに統一することです。分散させると特典航空券に届かなくなります。
LCC(格安航空会社)と組み合わせることはできますか?
スターアライアンス世界一周航空券にLCCの区間を組み込むことはできません。ただし、ストップオーバー中の都市間移動にLCCを別途購入して利用することは自由です。たとえばヨーロッパでストップオーバー中に、ライアンエアーで近隣都市に日帰り旅行をするといった使い方は問題ありません。世界一周航空券の区間とは別の移動として扱われます。
まとめ
スターアライアンスの世界一周航空券は、26の航空会社のネットワークを活用して、効率的かつ経済的に世界を一周できる魅力的な選択肢です。
マイル制と区間制の2つの運賃体系を理解し、自分の旅行スタイルに合った方を選ぶことが、コストパフォーマンスを最大化する鍵となります。ルート設計の段階で両方のシミュレーションを行い、ストップオーバーを戦略的に活用することで、同じ予算でもより充実した旅が実現します。
世界一周は人生を変える体験になり得ます。この記事が、みなさんの世界一周計画の第一歩として少しでもお役に立てれば幸いです。まずはスターアライアンスの公式ルートプランナーで、夢のルートを描いてみてください。