ポルトガルの治安を徹底解説する完全ガイド
ポルトガルへの旅行を計画していると、ふと気になるのが現地の治安ではないでしょうか。「ヨーロッパは治安が悪い」という漠然としたイメージを持つ方も少なくありません。
実際にポルトガルを訪れた経験から言えば、この国はヨーロッパの中でもかなり安全な部類に入ります。ただし、観光客が集まるエリアではスリや置き引きといった軽犯罪が確実に存在しており、「安全だから何も気にしなくていい」というわけではありません。
この記事では、最新の犯罪統計データと実際の渡航経験をもとに、ポルトガルの治安状況を都市別・エリア別に詳しく解説します。
この記事で学べること
- ポルトガルは世界平和度指数で世界第7位と、ヨーロッパ屈指の安全国である
- 2024年の犯罪件数は約35万件で前年比4.6%増加しており油断は禁物
- リスボンのバイシャ地区・アルファマ地区は観光客を狙ったスリの多発エリア
- ポルト・アルガルヴェ・マデイラなど地方都市はリスボンより格段に安全
- 具体的な防犯対策を実践すれば、女性の一人旅でも十分楽しめる国である
ポルトガルの治安は世界的に見てどのレベルか
結論から言えば、ポルトガルは世界でもトップクラスに安全な国です。
オーストラリアの経済平和研究所が毎年発表している「世界平和度指数(Global Peace Index)」において、ポルトガルは2025年時点で世界第7位にランクインしています。これはヨーロッパ全体で見ても上位に位置し、日本(第9位前後)と同等かそれ以上の評価を受けていることになります。
この指数は、国内の犯罪率、政治的安定性、テロのリスク、暴力犯罪の発生率など、複数の要素を総合的に評価したものです。単なる印象ではなく、データに基づいた客観的な安全性の指標といえます。
ただし、「安全」と「犯罪ゼロ」はまったく別の話です。
ポルトガルの2024年の犯罪統計によると、年間の犯罪件数は354,878件に達しています。これは2023年と比べて4.6%の増加、コロナ前の2019年と比較すると5.7%の増加です。観光客の回復とともに、観光客を狙った軽犯罪も増加傾向にあることがわかります。
ポルトガルで多い犯罪の種類と傾向

ポルトガルで旅行者が遭遇する可能性のある犯罪は、そのほとんどが非暴力的な窃盗犯罪です。
具体的には、以下の3つが圧倒的に多く報告されています。
スリ(ピックポケット)
観光客が最も被害に遭いやすい犯罪です。混雑したトラム(路面電車)の中、観光スポットの周辺、レストランのテラス席などで発生します。特にリスボンの28番トラムは世界的に有名な観光路線であると同時に、スリの多発路線としても知られています。
個人的な経験では、リスボンのトラム内で不自然に体を寄せてくる人物に遭遇したことがあります。事前に情報を得ていたため被害は免れましたが、知らなければ気づかなかったかもしれません。
置き引き
カフェやレストランでテーブルにスマートフォンや財布を置いたまま目を離す、椅子の背もたれにバッグをかけるといった行為は、ポルトガルでは格好のターゲットになります。ビーチでの荷物放置も同様です。
車上荒らし
レンタカーを利用する方は特に注意が必要です。車内に貴重品やバッグを見える状態で放置すると、駐車場や路上で窓を割られる被害が報告されています。特に観光地の駐車場では頻発する傾向にあります。
重要なのは、ポルトガルで暴力犯罪に巻き込まれるリスクは極めて低いという点です。殺人や強盗といった凶悪犯罪の発生率は西ヨーロッパの中でも最も低い部類に入ります。旅行者として基本的な防犯意識を持っていれば、深刻な被害に遭う可能性はかなり限定的です。
リスボンの治安と危険エリア

ポルトガルの首都リスボンは、国内で最も観光客が集中する都市であり、それに比例して犯罪の発生率も国内で最も高いエリアです。
ただし、リスボン全体が危険というわけではありません。問題が集中するのは特定のエリアと時間帯に限られています。
バイシャ地区(Baixa)
リスボンの中心部に位置する商業・観光の一大エリアです。コメルシオ広場やサンタ・ジュスタのエレベーターなど、主要な観光スポットが集中しています。日中は比較的安全ですが、人混みの中でのスリが非常に多く、特にロシオ広場周辺やアウグスタ通りでは常に警戒が必要です。
アルファマ地区(Alfama)
リスボン最古の歴史地区で、細く入り組んだ路地が特徴的なエリアです。ファドの生演奏が楽しめるレストランが点在し、観光客に大人気ですが、夜間の狭い路地では人通りが極端に少なくなります。夜間に一人で裏路地を歩くことは避けるべきです。
バイロ・アルト地区(Bairro Alto)
リスボンのナイトライフの中心地です。夜になると多くのバーやクラブが営業を開始し、深夜まで賑わいます。酔った観光客を狙ったスリや、路上での小さなトラブルが報告されています。楽しむこと自体は問題ありませんが、貴重品の管理と飲みすぎには注意してください。
ピンク・ストリート周辺の改善事例
かつてリスボンの中でも治安が悪いとされていたカイス・ド・ソドレ地区のピンク・ストリートは、行政主導の再開発によって大きく改善した好例です。現在ではおしゃれなバーやレストランが立ち並び、夜間でも比較的安全に楽しめるエリアに生まれ変わっています。このように、リスボンの治安は年々改善されている側面もあります。
リスボン以外の都市の治安状況

ポルトガルの治安を語るとき、リスボンの情報ばかりが目立ちますが、実際にはリスボン以外の都市はさらに安全な傾向にあります。
ポルト(Porto)
ポルトガル第二の都市ポルトは、リスボンと比べて観光客の密度が低く、それに伴い犯罪の発生率も低い傾向にあります。リベイラ地区やボリャオン市場周辺ではスリに注意が必要ですが、全体的にはリスボンよりも落ち着いた雰囲気で過ごせます。ポートワインのワイナリー巡りを楽しむ方が多いエリアですが、夜間のドウロ川沿いは人通りが少なくなるため注意しましょう。
アルガルヴェ地方(Algarve)
ポルトガル南部のリゾート地域であるアルガルヴェは、ヨーロッパ各国からのバカンス客で賑わうエリアです。治安は総じて良好で、ビーチリゾートとしての安全管理もしっかりしています。ただし、ビーチでの貴重品の管理と、夜間のクラブ周辺でのトラブルには注意が必要です。
マデイラ諸島(Madeira)
大西洋に浮かぶマデイラ諸島は、ポルトガルの中でも特に治安が良いエリアとして知られています。島特有の閉鎖的なコミュニティが犯罪抑止に寄与しており、観光客を狙った犯罪はほとんど報告されていません。自然を楽しむハイキングやワイン巡りが主な観光スタイルのため、都市型の犯罪リスクも低いのが特徴です。
ポルトガル主要都市の治安レベル比較(体感値)
※外務省情報・犯罪統計・渡航経験をもとにした総合評価
他のヨーロッパ諸国と比較したポルトガルの安全性
ヨーロッパの美しい街並みを楽しみたい方にとって、渡航先の治安比較は重要な判断材料です。
ポルトガルの世界平和度指数第7位という順位は、ヨーロッパの主要観光国と比較すると際立っています。フランス(パリ)やイタリア(ローマ)、スペイン(バルセロナ)といった人気の旅行先と比べると、ポルトガルの治安は明らかに良好です。
フランスはテロのリスクや大規模なデモが懸念材料となり、イタリアはローマやナポリでのスリ・ひったくりが深刻な問題です。スペインのバルセロナも観光客を狙ったスリが多発しています。
これらの国と比較すると、ポルトガルは暴力犯罪のリスクが格段に低く、テロの脅威も限定的です。「ヨーロッパ旅行は怖い」というイメージを持つ方にとって、ポルトガルは最も安心して訪れることができる国のひとつといえるでしょう。
海外旅行で安い国を探している方にとっても、ポルトガルは西ヨーロッパの中では物価が比較的安く、治安も良いという二重のメリットがあります。
ポルトガル旅行で実践すべき防犯対策
ポルトガルの治安が良いとはいえ、基本的な防犯対策は必須です。以下に、実際に効果的だと感じた具体的な対策をまとめます。
ポルトガル旅行の防犯チェックリスト
スリ対策の具体的な方法
スリの被害を防ぐために最も効果的なのは、貴重品を分散して持つことです。
財布をひとつにまとめるのではなく、その日使う分の現金だけを小さな財布に入れ、パスポートやクレジットカードはホテルのセーフティボックスに預けるのが基本です。首から下げるセキュリティポーチも有効ですが、服の外に出していては意味がありません。
リスボンの28番トラムに乗る場合は、特に注意が必要です。混雑する乗降時にスリが活動することが多いため、できれば始発駅から乗車して座席を確保するか、混雑する時間帯を避けることをおすすめします。
夜間の行動における注意点
ポルトガルは夜の食事文化が遅く、レストランのディナータイムは20時以降が一般的です。そのため、夜間に外出すること自体は自然なことですが、以下の点に気をつけてください。
メインストリートを歩く分には深夜でも比較的安全です。問題は、細い路地や人通りのない裏道に入ることです。特にアルファマ地区やバイロ・アルト地区の裏路地は、昼間は風情がありますが、夜間は暗く人気がなくなります。
女性の一人旅でポルトガルは安全か
ポルトガルは女性の一人旅にも比較的適した国です。
ヨーロッパの中でも性犯罪の発生率は低く、地元の人々も親切で、困っているとすぐに声をかけてくれる文化があります。ただし、以下の点には特に注意してください。
夜間のバイロ・アルト地区での一人歩きは避けること。タクシーやUberを積極的に活用すること。見知らぬ人からの過度に親しげな誘いには慎重になること。これらは世界中どの国でも共通する基本的な注意事項ですが、ポルトガルでも例外ではありません。
海外旅行の持ち物チェックリスト(女子向け)を参考に、防犯グッズも忘れずに準備しましょう。セキュリティポーチやワイヤーロックなどは、安心感を大きく高めてくれます。
ポルトガル旅行で困ったときの緊急連絡先
万が一のトラブルに備えて、以下の連絡先を事前にスマートフォンに登録しておくことをおすすめします。
🚨 ポルトガル緊急通報
112(警察・救急・消防共通)
EU共通の緊急番号で、英語対応可能
🇯🇵 在ポルトガル日本大使館
+351-21-311-0560
リスボン市内に所在、営業時間外は緊急転送あり
📞 観光客向け警察窓口
PSP Tourism Police
リスボン・ポルトの主要観光エリアに設置、英語対応可
パスポートを紛失した場合は、まず現地の警察で紛失届(ポリスレポート)を取得し、その後日本大使館で「帰国のための渡航書」を申請する流れになります。パスポートのコピーと証明写真の予備を持参しておくと、手続きが格段にスムーズになります。
海外旅行で持っていけばよかったものの中でも、パスポートのコピーとセキュリティグッズは上位に挙がる定番アイテムです。
ポルトガルの治安に関するよくある質問
ポルトガルはヨーロッパの中で治安が良い方ですか?
はい、ポルトガルはヨーロッパの中でもトップクラスに治安が良い国です。世界平和度指数で世界第7位にランクインしており、フランス、イタリア、スペインなど他の主要観光国と比較しても安全性は高いといえます。特に暴力犯罪やテロのリスクは非常に低く、日本人旅行者にとって安心して訪れることができる国のひとつです。
リスボンで特に注意すべきエリアはどこですか?
リスボンで最も注意が必要なのは、バイシャ地区(特にロシオ広場周辺)、アルファマ地区の裏路地、バイロ・アルト地区の夜間です。これらのエリアは観光客が多く集まるため、スリや置き引きが頻発しています。また、28番トラムの車内も要注意ポイントです。ただし、これらのエリアも日中の大通りであれば基本的に安全に観光を楽しめます。
ポルトガルで夜間に外出しても大丈夫ですか?
ポルトガルは夕食の時間が遅い文化があるため、夜間の外出自体は一般的です。大通りやメインの観光エリアであれば、夜間でも比較的安全に歩くことができます。ただし、裏路地や人通りの少ない場所は避け、帰りのルートをあらかじめ確認しておくことをおすすめします。不安な場合はUberやタクシーを利用するのが最も安全です。
ポルトガル旅行に海外旅行保険は必要ですか?
必ず加入してください。ポルトガルの治安が良いとはいえ、スリの被害やスマートフォンの紛失・破損、体調不良など、予期せぬトラブルは起こり得ます。特にポルトガルの医療費は日本と比べて高額になる場合があり、保険なしでは大きな負担になります。クレジットカード付帯の保険でも最低限のカバーは可能ですが、補償内容を事前に確認しておくことが重要です。
ポルトガルの犯罪は増加傾向にありますか?
2024年の犯罪統計では354,878件が記録されており、前年比4.6%の増加となっています。コロナ前の2019年と比較しても5.7%増加しています。これは観光客数の回復に伴う面もありますが、軽犯罪を中心に増加傾向にあることは事実です。ただし、世界平和度指数での高い順位が示すように、全体的な安全性は依然として高い水準を維持しています。過度に心配する必要はありませんが、基本的な防犯対策は欠かさないようにしましょう。
まとめ
ポルトガルは世界平和度指数第7位が示す通り、ヨーロッパの中でも非常に安全な旅行先です。暴力犯罪のリスクは極めて低く、基本的な防犯意識を持っていれば、快適に旅行を楽しむことができます。
一方で、リスボンを中心にスリや置き引きといった軽犯罪は確実に存在しており、2024年の犯罪件数は増加傾向にあります。「安全な国だから大丈夫」と油断するのではなく、バッグの管理、貴重品の分散、夜間の行動範囲など、基本的な対策を実践することが大切です。
ポルトガルの人々は温かく、困っている観光客を助けてくれる文化があります。適切な準備と心構えがあれば、この美しい国での旅は忘れられない素晴らしい体験になるはずです。ユーレイルパスを活用してポルトガルだけでなくヨーロッパ各国を周遊するプランも、治安の良いポルトガルを拠点にすれば安心して計画できるでしょう。